キッチン・浴室は消耗品。高価な設備が正解じゃない理由

コストダウン

「一生に一度の買い物だから、キッチンも浴室も最高級にしたい」。
そう考えるのは、決して珍しいことではありません。

実は、キッチンや浴室は「ずっと使えるもの」ではなく「消耗品」であるという視点を持つと、選び方が大きく変わってきます。
私は自邸を自ら設計し7年間暮らしながら、業務でも10年以上、新築とリフォームの現場に携わってきました。

この記事では、キッチンや浴室を消耗品として捉える考え方と、実際にあった失敗談も交えてお伝えします。
結論からお伝えすると、いずれ修理や取り替えが必要になることを踏まえて考えれば、必ずしも高価な設備を選ぶ必要はありません。

(ショールームでの設備選びとコストの関係については、別記事「その設備、本当に必要?」でも詳しく解説しています。あわせて読むと、機能面と消耗品としての視点、両方から設備選びを検討できます。)


「一生モノにしたい」という気持ちは分かりますが・・・

新築は、多くの方にとって一生に一度の大きな買い物です。
だからこそ、キッチンや浴室にも妥協せず、良いものを選びたいと考えるのは自然な気持ちです。

大きな決断だからこそ、最高のものを選びたいという思いは、誰の心にもあるものです。
私自身も自邸を計画する際、この気持ちと何度も向き合いました。

しかし、業務で数多くの住宅に携わる中で、キッチンや浴室には「消耗品」という側面があることに気づかされました。
この視点を持つことで、設備選びの考え方が大きく変わっていきます。

打ち合わせの場で「一生に一度だから」と言われると、つい財布の紐が緩んでしまうのは、誰にでもある自然な反応です。
私自身も、その言葉に何度も心を動かされました。

それでも、一度立ち止まって考える価値のある視点があります。

問題の本質:「一生モノ」という思い込みが判断を狂わせる

多くの方が、キッチンや浴室は「家を建てたらずっと使えるもの」だと考えています。
問題の本質は、この思い込みによって、必要以上に高価な設備を選んでしまう判断につながることにあります。

もちろん、大切に使えば長持ちしますが、キッチンや浴室は経年で劣化していくものです。
いずれ修理したり、取り替えたりする時期が訪れることを考えると、最初から最高級のグレードにこだわる必要性は薄れてきます。

「一生モノ」という言葉に引っ張られて判断すると、本来であれば見直せたはずのコストまで、そのまま支払うことになってしまいます。

築20年以上のお住まいをリフォームする際も、まさにこの視点が問われる場面です。
最初のキッチンや浴室がどれだけ高価だったとしても、経年劣化には勝てず、いずれ取り替えの時期がやってきます。

原因は3つ。すべて「消耗品という視点の欠如」から生まれます

経年劣化することを想定していない

キッチンや浴室は、水や熱、日々の使用にさらされる場所であり、どれだけ丁寧に使っても少しずつ劣化していきます。

「住み続ける限り一生使える」という前提で選んでしまうと、実態に合わない過剰な投資になりがちです。
素材や仕上げによって劣化のスピードも変わるため、耐久性の面からも設備を見比べる価値があります。

使わない機能にまでお金をかけてしまう

便利そうに見える機能でも、実際の生活の中では使わないまま終わってしまうことがあります。
私の家のキッチンには、妻が「絶対にいる」と言って設置した食洗機がありますが、実は一度も使われていません。

「せっかくだから使ったら」と伝えても、「使い方が分からない」という返事が返ってくるばかりです。
今では、洗い場に置かれた立派なオブジェのような存在になっています。

どれだけ良い機能でも、使われなければ無駄な投資になってしまいます。
「絶対にいる」という言葉の強さと、実際に使うかどうかは、必ずしも一致しないという良い教訓です。

将来の修理・取り替えコストを考えていない

高価な設備ほど、修理や部品交換の際の費用も高くなる傾向があります。
初期費用だけでなく、将来のメンテナンス費用まで含めて考える視点を持つ方は、決して多くありません。

私が担当した現場でも、高級な設備を選んだために、数年後の部品交換時に想定外の高額な費用がかかってしまったという相談を受けたことがあります。
購入時の価格だけを見て判断すると、こうした将来のコストを見落としがちです。

解決方法:消耗品として捉え、必要な機能に絞って選ぶ

解決策は、キッチンや浴室を「消耗品」として捉え、本当に使う機能だけに絞って選ぶこと。

高価な最新機能に飛びつく前に、「これは自分たちが本当に使い続けるものか」を、一つひとつじっくり確認していく姿勢が大切です。
迷ったときは、その機能がなくても暮らしに支障がないかを具体的に想像してみると、判断がしやすくなります。

私の家の食洗機のように、良かれと思って設置した設備が、結果的に使われないまま終わってしまうこともあります。
「絶対にいる」という強い希望であっても、一度立ち止まって本当に使うかどうかを確認する価値はあります。

いずれ修理や取り替えが必要になることを前提に考えれば、初期投資を抑えて、必要になったタイミングで見直すという選択も十分に合理的です。

私自身、自邸のキッチンや浴室を選ぶ際、この考え方を意識してからは、担当者との会話がぐっと具体的になりました。
「本当に使うか」という問いを繰り返すだけで、迷いなく決断できる場面が増えていきました。

今日からできる具体アクション

  • 検討している設備が、本当に日常的に使うものか家族で話し合う
  • 「絶対に欲しい」と主張する家族には、具体的な使用シーンを聞いてみる
  • 設備のグレードごとに、修理・部品交換にかかる将来的な費用も確認する
  • 経年劣化を前提に、最初から完璧を求めすぎない心構えを持つ
  • 実際に同じ設備を使っている知人に、使用頻度や感想を聞いてみる
  • 数年後に見直す前提で、あえて標準グレードから検討してみる
  • 「一生モノ」という言葉に流されず、いったん冷静に考え直す時間を作る

「これは消耗品」という視点を持つだけで、設備選びの基準が変わってきます。
高価なものが必ずしも正解ではないと知っておくだけで、選択の幅がぐっと大きく広がっていきます。

まとめ

キッチンや浴室は、一生モノだと思われがちですが、実際には少しずつ経年で劣化していく消耗品です。
この視点をしっかり持つことで、必要以上に高価な設備を選んでしまう判断を避けられます。

どれだけ便利そうに見える機能でも、実際に使われなければ意味がありません。
「絶対にいる」という強い希望であっても、本当に使うかどうかを一度立ち止まって確認する価値があります。

消耗品としてしっかり捉え、本当に必要な機能に絞って選ぶこと。
これが、コストを抑えながら納得のいく設備選びに確かに、そして着実につながっていきます。

自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの視点の大切さを心からお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、「一生モノ」という言葉に惑わされず、いずれ取り替える日が来ることを踏まえて選んでみてください。

その視点があれば、無理のない予算での家づくりに、きっと自然と、そして着実に近づいていけるはずです。

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