「せっかくならスマート家電で快適な暮らしを」。
ショールームで最新設備を見ると、そう感じる方は多いはずです。
実は、付加価値の高い設備ほど価格も比例して上がっていくため、機能に流されて選ぶと想定外のコストになりがちです。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、設備選びとコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、ショールームでの見学時に何を意識すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、最新式や高機能な設備が、必ずしもあなたにとって必要なものとは限りません。
最新設備に惹かれる気持ち、誰もが持っています
スマートスピーカーで照明やテレビを操作できたり、手をかざすだけで水が出るキッチン水栓があったり。
最近の住宅設備は、驚くほど多彩で便利な機能を備えています。
そして、そういった設備がもう当たり前に標準装備されている時代に来ています。
便利な暮らしへの憧れは、誰もが自然に抱くものです。
私自身も自邸を計画する際、さまざまな最新設備に心を惹かれた経験があります。
ショールームに足を運ぶと、次々と紹介される新しい機能に、ワクワクした気持ちになるのも当然のことです。
その気持ちを否定するつもりは全くありません。
打ち合わせの中で「こんな機能もあるんですよ」と紹介されると、それだけで採用したくなる気持ちは、誰にでもあるものです。
私自身、案内を受けるたびに、あれもこれも欲しくなってしまう瞬間が何度もありました。
憧れを持つこと自体は自然なことです。
ただ、その憧れと価格の関係を一度冷静に見比べる時間を持ってほしいのです。
問題の本質:便利さと価格は比例して上がっていく
多くの方が、設備の機能面ばかりに気を取られ、価格との関係を冷静に見比べる機会を持ちません。
問題の本質は、付加価値の高い設備ほど価格が上がるという当たり前の事実を、選定の基準として意識できていないことにあります。
たとえば、身近なスマートフォンも、非常に多機能でパソコン並みの能力を持っていますが、その機能をすべて使いこなせている方は多くありません。
住宅設備も同じで、便利な機能が付くほど価格は高くなり、最新機種であればあるほどその傾向は強くなります。
この関係を理解せずに「便利そうだから」という理由だけで選んでしまうと、使いこなせない機能に高い費用を払うことになりかねません。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、この視点は同じように役立ちます。
設備を入れ替えるタイミングだからこそ、最新式に飛びつく前に、本当に必要な機能かどうかを一度立ち止まって考えることをおすすめします。
原因は3つ。すべて「機能への憧れ」から生まれます
機能の多さと必要性を区別できていない
キッチンの水栓を例に考えてみます。
手をかざせば水が出るセンサー付きの水栓は、普通のレバー式に比べて価格が高くなります。
便利であることは間違いありませんが、その便利さが自分の暮らしに本当に必要かどうかを、冷静に考える機会は意外と少ないものです。
機能の数だけで比較するのではなく、「日常的に使うか」という基準で見極めることが大切です。
ショールームの見せ方に影響されている
ショールームでは、案内してくれる担当者が最新式の製品を勧めてくることが多く、レイアウトも一番目立つ場所に一番見栄えの良い製品が置かれています。
つまり、目に留まりやすい製品ほど、価格も高い傾向にあるということです。
私が同行した現場でも、最初は最新式を検討していた方が、必要な機能を整理した結果、型落ちのシンプルなモデルに落ち着いた例が何度もありました。
一度冷静に考え直すだけで、数万円から数十万円の差が生まれることも珍しくありません。
「最新式=自分に必要なもの」だと思い込んでいる
多くの方が、最新であることと自分に必要であることを同一視してしまいます。
実際には、機能が少なく型が古いものは総じて価格が安く、それで十分事足りるケースも多くあります。
「最新式」ではなく「必要な機能が備わっているもの」を基準に選ぶことが大切です。
型が少し古いというだけで、性能面で大きく劣るわけではないことも多くあります。
見た目の新しさよりも、実際に使う機能を優先して選ぶという視点を持つことが、賢い買い物につながります。
解決方法:本当に必要な機能をリストアップして選ぶ
解決策は、ショールームで最新式を勧められても一度立ち止まり、自分たちの暮らしに本当に必要な機能を整理してから選ぶこと。
案内担当者の説明に流されず、「この機能は本当に自分たちが使うか」を一つずつ確認していく姿勢が重要です。
グッとこらえて機能を絞り込むだけで、想像していた以上のコストダウンにつながることがあります。
私が自邸で選んだユニットバスは、浴槽の種類・床の種類・壁の柄・鏡のサイズ・棚の材質と数・浴室乾燥機のレベルを必要最小限にすることで、定価ベースで50万円ほど価格を落とすことができました。
削った分は決して我慢ではなく、本当に必要なものを見極めた結果です。
50万円という金額を聞くと、少なく感じないはずです。
これだけの差が生まれるのは、機能一つひとつの積み重ねが、想像以上に大きな金額に膨らんでいくからです。
なお、キッチンや浴室そのものを「消耗品」として捉える視点を持つと、さらに判断がしやすくなります。
その考え方については、別の記事で詳しくお伝えします。

今日からできる具体アクション
- ショールームに行く前に、家族で「絶対に欲しい機能」を3つまでに絞り込んでおく
- 案内される最新式だけでなく、型落ちやベーシックなモデルも必ず見せてもらう
- 気になる機能ごとに、価格差を具体的に確認する
- 「使いこなせるかどうか」を基準に、機能の要不要を判断する
- 見積もりの中でオプション費用がどれだけを占めるか、担当者に確認する
- 家電量販店などで実際に似た機能を試し、日常生活での必要性を体感してみる
- ショールームでは案内担当者に、あえて低価格帯の製品も一緒に見せてもらう
- 家族と一緒に、優先順位の高い機能から順番に並べて話し合う時間を作る
「便利そう」で終わらせず、「本当に使うか」まで踏み込んで考えてみてください。
その一手間こそが、納得のいく設備選びに確かに、そして着実につながっていきます。
まとめ
住宅設備は、付加価値が高くなるほど価格も上がっていく傾向があります。
ショールームでは最新式が目立つ場所に置かれ、勧められることも多いですが、それが必ずしも自分たちに必要なものとは限りません。
本当に必要な機能を整理し、機能に流されず選ぶことが、コストを抑えながら満足度の高い設備選びに着実につながります。
最新式かどうかではなく、必要な機能が備わっているものを選ぶという視点をしっかり持つこと。
これが、後悔しない設備選びの何よりも大切な基本となる考え方です。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの見極めの大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、ショールームに足を運ぶ前に、一度「本当に必要な機能」を家族で話し合ってみてください。
その準備をしておくだけで、当日の見学の質も大きく変わってくるはずです。


コメント