「浴室はここ、トイレはあっち」。
使い勝手だけを考えて水回りを離して配置すると、実はコストが上がりやすいことをご存じでしょうか?
浴室、洗面所、トイレ、キッチンといった水回りは、できるだけ近くに集中させることで、コストダウンにつながります。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、水回りの配置とコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、間取りの打ち合わせで何を確認すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、水回りはできるだけ集中させることが、無駄のない配管計画につながります。
使い勝手を優先して配置したくなる気持ち、よく分かります
キッチンはリビングの近くに、浴室は寝室の近くになどなど。
生活動線を優先して考えると、水回りを家のあちこちに分散させたくなることがあります。
使いやすさを考えることは、間取りづくりでとても大切なことです。
だからこそ、動線を優先したくなるのは自然な発想です。
私自身も自邸を計画する際、使い勝手と配管コストのバランスについて何度も検討しました。
最終的には、水回りをできるだけ近くにまとめる方向で計画を進めました。
打ち合わせの中では、キッチンや浴室の位置を、日当たりや視線の抜けといった視点で決めることが多いはずです。
その視点自体はとても大切ですが、床下の配管まで意識できている方は、決して多くありません。
目に見える部分と、目に見えない部分。
両方に目を向けることで、後悔のない間取りに近づきます。
問題の本質:見えない配管が、コストに大きく影響している
多くの方は、水回りの配置を間取りの使いやすさだけで判断してしまいます。
問題の本質は、床下を通る給排水管の長さが、目に見えないところでコストに大きく影響していることを見落としてしまうことにあります。
水回りを家の各所に分散させると、それぞれに給水管や排水管を引く必要があり、配管の総延長が長くなります。
配管が長くなれば、材料費も施工費も比例して増えていきます。
普段の暮らしの中で配管を意識することはほとんどないため、この影響に気づかないまま間取りを決めてしまう方が少なくありません。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、この視点は重要です。
水回りの位置を大きく移動させるリフォームは、配管工事の規模が大きくなり、費用がかさみやすい工事のひとつです。
原因は3つ。すべて「配管の長さと数」に関係しています
配管の総延長が長くなる
水回りを分散させると、それぞれの場所まで給水管・排水管を通す必要があり、配管の総延長が伸びていきます。
配管が短くまっすぐであるほど、材料費や施工費は抑えられます。
曲がり角が増えるごとに継手という部材も必要になり、その分の材料費と手間も積み重なります。
点検口の数が増える
床下に潜って配管の状態を確認するための点検口は、配管が分散しているとそれぞれの場所に必要になることがあります。
点検口が増えれば、その分の費用がかかり、見た目にもすっきりしなくなってしまいます。
配管が1箇所に集中していれば、床下に1度潜るだけで全体の状況を確認できるという利点もあります。
縦の配管が余分に必要になる
2階に水回りを設置する場合、1階へつなぐ縦の配管が必要になり、その分のコストが加わります。
また、1階・2階の両方にトイレを設置する場合、上下の位置がずれていると、配管を曲げたり、縦の配管を2本設置したりする必要が出てきます。
私が担当した現場でも、上下階のトイレの位置を合わせるだけで、配管工事の費用を抑えられた例がありました。
「位置を揃える」という小さな工夫が、無駄なコストを防いでくれます。
配管を曲げる工事は、まっすぐ通す工事に比べて手間も部材も増え、施工の難易度も上がります。
見た目には分からない部分だからこそ、担当者に任せきりにせず、位置関係を意識しておくことが大切です。
解決方法:水回りをできるだけ近くにまとめて計画する
解決策は、間取りの初期段階から、水回りをできるだけ近くに集中させることを意識すること。
浴室・洗面所・トイレ・キッチンを1つのエリアにまとめることで、配管の総延長を短くでき、点検口の数も抑えられます。
2階に水回りを設ける場合も、1階の水回りの真上に配置することで、縦の配管をまっすぐに通すことができます。
ガスを利用する場合も同じ考え方が当てはまり、配管を極力短くまっすぐに施工することで、ロスを減らし、ガス代の節約にもつながります。
一つひとつは小さな工夫でも、積み重なることで見過ごせないコスト差になります。
今回お伝えした内容は、単体で見れば大きな金額ではないかもしれません。
実際に、配管によく使う塩ビ管などはそこまで高いものではありません。
それでも、配管の長さ、点検口の数、縦配管の有無といった項目を積み重ねていくと、決して無視できない差になります。
なお、水回りを集中させる際は、コストだけでなく使い勝手にも配慮が必要です。
その具体的な工夫については、別の記事でお伝えします。

今日からできる具体アクション
- 間取り図を見て、水回りがどれくらい分散しているか確認してみる
- 2階に水回りを設ける場合は、1階の水回りの真上に配置できないか検討する
- 1・2階両方にトイレを設置する場合は、位置を揃えられるか担当者に確認する
- 床下点検口の数と位置について、見積もりの段階で確認しておく
- ガス機器の配置も、配管が短くまっすぐになるよう意識する
- 見積もりの中で給排水管工事費がどのくらいを占めるか担当者に聞いてみる
水回りの位置を図面上でチェックするだけで、見えないコストに気づけます。
打ち合わせの際に、ぜひ意識してみてください。
専門的な知識がなくても、位置関係を見比べるだけで十分に効果があります。
まとめ
浴室・洗面所・トイレ・キッチンといった水回りは、できるだけ近くに集中させることで、配管の総延長を抑え、コストダウンにつながります。
点検口の数を減らせる、縦の配管を最小限にできるといった利点もあり、一つひとつは小さな工夫でも積み重なると大きな差になります。
使い勝手を優先したい気持ちも大切にしながら、配管という見えない部分にも目を向けること。
これが、無駄のない水回り計画につながります。
小さな積み重ねが、後から振り返ったときに大きな差として実感できるはずです。
見た目に表れない部分だからこそ、丁寧に確認する価値があります。
その一手間を惜しまないことが、長く納得して暮らせる家につながります。
ぜひ今日から、間取り図の中の水回りの位置に注目してみてください。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの視点の大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、水回りの配置を決める際は、見た目の使い勝手と一緒に、配管の通り道もぜひ意識してみてください。
その意識ひとつで、見積もりの中身が変わってくるはずです。


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