新築を建てて、住み始めてから1年ほど経った頃、ふと気づいたことがあります。
「もっとこうしておけばよかった」と感じるポイントが思っていたより多い、ということです。
間取りから設備の一つひとつまで、自分で考え抜き、何度も検討を重ねて建てた家です。
それでも、実際に暮らしてみて初めて分かる後悔は、確実に存在しました。
私は建築・不動産の仕事に10年以上携わり、業務としても数多くの新築・リフォームの現場を見てきました。
一般の方より多くの知識と経験があるつもりで、我が家の計画にも、お客様や同業者からよく聞く失敗事例を踏まえて臨みました。
それでも、後悔ポイントは出てきます。
「家は3回建てないと理想の家にならない」という言葉があるくらい、これは多くの人が経験することなのかもしれません。
この記事では、そんな私が住み始めて最初に実感した後悔、「コンセントの数」について、実体験をもとにお伝えします。
これから新築を考えている方、リフォームを検討している方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
新築のコンセント、実は「少なすぎる」のが一般的
一般的に、ハウスメーカーや工務店が最初に出してくるプランは、コンセントの数が少ない傾向にあります。
私の実感では、実際に必要な数の半分くらいしかプランされていないことが多いです。
これは決して手抜きというわけではなく、標準的な暮らし方を想定した「最低限」の数で提案されることが多いためだと感じています。
だからこそ、私自身も新築の計画段階で、この点はかなり意識していました。
実際、私の家は、通常のプランの倍以上のコンセントを設置しています。
それでも、結果的に足りない部分が出てきました。
正確に言うと、「全体としては足りているはずなのに、場所によって過不足がある」という状態になったのです。
多く設置したはずなのに、なぜこんなことが起きたのか。
その理由を掘り下げていくと、コンセント計画には、単純に「数を増やす」だけでは解決できない、ちょっとしたコツがあることに気づきました。
今使っているコンセントの数を、まず数えてみる
コンセントの必要数を考える上で、一番確実な方法があります。
それは、今住んでいる家で、実際に使っているコンセントの数を数えてみることです。
延長コードを使っていませんか?
たこ足配線になっている場所はありませんか?
もし心当たりがあるなら、それこそが「今、本当に必要としているコンセントの数」です。
新しい家でも、暮らし方そのものが大きく変わらない限り、必要な数はそれほど変わりません。
打ち合わせの中で「コンセントは何口くらい必要ですか?」と聞かれても、多くの方は感覚的にしか答えられないと思います。
それも当然のことです。普段、コンセントの数を意識しながら生活している人はほとんどいません。
だからこそ、「今の暮らしを数える」という具体的な作業が効果を発揮します。
感覚ではなく、実際の使用状況というデータをもとに考えることで、精度がぐっと上がります。

テレビまわりで実感した「ちょうどいい」の難しさ
我が家のテレビまわりを例に、もう少し具体的にお話しします。
テレビ、DVDデッキ、スピーカー付きテレビ台、モデム、HUB、任天堂スイッチ、PS3、水槽のエアポンプ2台など。
思いつく限りの機器を洗い出し、10口のコンセントを設置しました。
結果としてどうだったかというと、ちょうどいいか、むしろ少し足りないくらいでした。
家電製品というのは、暮らしていく中で少しずつ増えていくものです。
新しいゲーム機を買ったり、スマート家電を導入したり、Wi-Fiルーターを買い替えて周辺機器が増えたりと、当初の想定を超えることは珍しくありません。
「今後、電化製品が増えることを考えると、正直まだ足りていないな」というのが、住み始めて1年経ったころの実感でした。
一方で、逆のパターンもありました。
キッチンでは、逆に4口も余ってしまった
キッチンまわりには、6口ほどコンセントを設置しました。
「キッチンは電化製品が多いだろう」と、あまり深く考えずに数を決めてしまったのですが、実際に使っているのは電子レンジと炊飯器の2つだけです。
冷蔵庫については、高い位置に別でコンセントを設けているので、この6口には含まれていません。
結果、4口が使われないまま余っている状態になっています。
これは、「なんとなく多めに」という判断が、必ずしも正解にならないことを教えてくれる例だと思います。
テレビまわりのように、具体的に使う機器を一つひとつ書き出していれば、もっと精度の高い数を割り出せていたはずです。
「多く付ければ安心」ではなく、「具体的に何を使うかを想像してから数を決める」ことの方が、はるかに重要だと痛感しました。
「ここに付けておけばよかった」という、想定外の場所
さらに、設計段階ではまったく想定していなかった場所に、コンセントが必要になった、という経験もあります。
この場所については、具体的な説明が少し難しいため詳細は割愛しますが、暮らしてみて初めて生まれた使い方に対応するために、コンセントが必要になった、という状況でした。
これは、どれだけ入念に打ち合わせを重ねても、完全には予測しきれない部分があるということを示しています。
実際に生活を始めてみないと分からない使い方というのは、必ず一定数出てくるものです。
だからこそ、後述する「多少の余裕を持たせておく」という考え方が大切になってきます。
見た目とのバランスも忘れずに
ここまで「コンセントは多い方がいい」という話を中心にしてきましたが、一点、注意しておきたいことがあります。
コンセントは、見栄えや部屋の意匠にも影響する要素です。
壁一面にコンセントがたくさん並んでいると、それだけで悪目立ちしてしまうことがあります。
ですので、「とにかくたくさん設置すればいい」というわけではありません。
必要な場所に、必要な分だけ、バランスよく配置するという視点も忘れずに持っておいてください。
新築時に付けるか、後から付けるか。この差は大きい
コンセント計画において、もう一つ知っておいてほしい重要なポイントがあります。
それは、新築時に多めに設置しておく場合と、住んでから後付けで追加する場合とでは、費用が大きく異なるということです。
新築の工事段階であれば、壁の中の配線工事も、他の電気工事と一緒にまとめて行えるため、比較的コストを抑えられます。
一方、住み始めてから「やっぱりここにコンセントが欲しい」となった場合、話は変わってきます。
配線を壁の外に露出させるか、天井裏や壁の中を通す大掛かりな工事が必要になり、その分の工数と費用がかかってしまいます。
つまり、「今は使わないかもしれないけれど、念のため付けておく」という判断が、結果的にコストを抑えることにつながるのです。
具体的な決め方:間取り図に「暮らし」を書き込んでみる
では、実際にどうやってコンセントの数を決めていけばよいのでしょうか。
私がおすすめしたいのは、次のような手順です。
まず、間取りがある程度固まった段階で、一度目を閉じて、そこでの新生活を具体的にイメージしてみてください。
朝起きてから夜寝るまで、どの部屋で、どんな家電を、どんなタイミングで使うか。できるだけ具体的に思い浮かべてみます。
そして、間取り図にそのイメージを直接書き込んでいきます。
「ここにテレビ」「ここに掃除機の充電スタンド」「ここにスマホの充電」というように、実際に使う電化製品を一つひとつ書き出していくのです。
これをやってみると、頭の中だけで考えていたときには気づかなかった、意外な場所での必要性に気づくことがよくあります。
その上で、書き出した数より数口ほど多めに設置しておく。
これくらいの余裕を持たせておけば、住み始めてから「全然足りない」と後悔する可能性はぐっと下がるはずです。

まとめ
新築のコンセント計画は、「なんとなく多めに」という感覚だけで決めてしまうと、私のように「多く設置したはずなのに、場所によって過不足がある」という状態に陥りがちです。
大切なのは、次の3つの視点です。
1つ目は、今の住まいで実際に使っているコンセントの数を数え、それを基準にすること。
2つ目は、部屋ごとに、具体的にどんな電化製品を使うかを想像し、間取り図に書き込んでみること。
3つ目は、新築時にまとめて設置する方が、後から追加するよりもコストを抑えられることを理解しておくこと。
そして、見た目とのバランスも考えながら、「多すぎず、少なすぎず、必要な場所に必要な数」を目指すこと。
これが、住み始めてから後悔しないコンセント計画のポイントだと、実体験を通じて強く感じています。
これから新築を考えている方、リフォームを検討している方は、ぜひ打ち合わせの段階で、この記事の内容を参考にしてみてください。
小さな準備の積み重ねが、暮らし始めてからの快適さを大きく左右します。
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