「棚を付けたいけど、誰に頼めばいいのだろう」。
そんな疑問を持ったことのある方は多いはずです。
実は、同じ「棚を付ける」という工事でも、誰が担当するかによって費用が変わることをご存じでしょうか?
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、大工工事と家具工事の違いとコストダウンの工夫をお伝えします。
読み終える頃には、造作を依頼する際に何を確認すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、簡単な取付工事は大工さんに依頼することで、人件費を抑えられます。
「誰に頼めばいいか分からない」誰もが悩みます
新築の打ち合わせでは、家具や収納の話になった際、それが誰の担当なのかを意識する機会はあまりありません。
気づけば見積もりに「家具工事」という項目があり、金額に驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
専門的な工事区分は、施主にとって分かりにくいものです。
私自身も自邸を計画する際、この区分について改めて学び直した経験があります。
家の骨組みを作る大工さんと、オーダーメイドの家具を作る家具職人。
この2つの違いを知っているかどうかで、依頼の仕方も費用も大きく変わってきます。
打ち合わせの中で「棚が欲しい」と伝えると、担当者がそのまま話を進めてくれるため、裏側にある工事区分を意識する機会はほとんどありません。
それ自体は決して悪いことではありませんが、知っておくだけで得られるメリットは確かにあります。
「誰にお願いしているのか」を意識するだけで、見えてくるコストの差が確かにあります。
問題の本質:工事区分を知らずに依頼先を決めてしまう
多くの方が、棚や収納の取り付けについて、詳しい仕組みを知らないまま担当者に任せてしまいます。
問題の本質は、大工工事と家具工事という2つの区分があることを知らず、本来なら安く済む工事まで割高な家具工事として依頼してしまうことにあります。
大工工事と家具工事は、工事を行う人間が異なり、それぞれに人件費がかかります。
大工工事は主に家の構造を作るのが仕事であり、家具工事は主に作り付けの家具や、既製品にない寸法のものを一から作るのが仕事です。
この違いを知らないまま「棚を付けたい」とだけ伝えると、家具職人による割高な対応になってしまうことがあります。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、同じ視点が役立ちます。
収納を追加したいといった要望も、内容によっては大工工事で対応できることがあり、依頼先を工夫するだけでリフォーム費用を抑えられる場合があります。
原因は3つ。すべて「工事区分の知識不足」から生まれます
簡単な取付工事も家具工事だと思い込んでいる
棚を付けるといった簡単な工事であれば、実は大工さんでも対応可能なケースが多くあります。
この事実を知らないまま依頼してしまうと、本来不要だったはずのコストが発生してしまいます。
特に、可動棚やシンプルな飾り棚のような工事は、大工さんの対応範囲であることが多いです。
「聞けば分かること」を聞かずに済ませてしまう
「こんな工事は大工さんでできますか?」と一言尋ねるだけで済むことを、多くの方が確認せずに進めてしまいます。
どこの工務店でも、こうした質問には丁寧に答えてくれるはずです。
簡単に確認するだけで済むはずの内容を聞かずに進めた結果、後から「大工さんでもできたのに」と気づいた例もありました。
一度契約や発注が進んでしまうと、後から工事区分を変更するのは難しくなるため、できるだけ早めの確認が肝心です。
家具工事が必要なケースとの違いを理解していない
既製品にはないサイズや形の家具を作りたい、自分で選んだ材料で世界に一つだけの家具を作りたいといった要望は、家具工事の領域になります。
この違いを理解していないと、必要な工事とそうでない工事の判断ができません。
家具職人は家具を作るのが専門なので、オーダーメイドの対応は大工さんよりしっかりできますが、その分コストは平均して割高になります。
すべてを大工工事で済ませようとすると、今度は仕上がりの質にこだわりきれない部分も出てきます。
大工工事と家具工事、それぞれの得意分野を理解した上で、適材適所で使い分ける発想が欠かせません。

解決方法:内容に応じて依頼先を使い分ける
解決策は、依頼したい工事の内容を明確にし、大工工事と家具工事を使い分けること。
まずは、検討している棚や収納の取り付けが、大工さんの対応範囲かどうかを遠慮なく確認してみましょう。
簡単な取付であれば、大工工事として依頼することで、人件費を削減できます。
一方で、オーダーメイドのこだわりが強い部分は、家具工事として家具職人に依頼するのが適切です。
自分の家のどこにこだわり、どこにお金をかけたいかを吟味し、予算の割り振りを考えることが大切です。
すべてを家具工事にするのではなく、部分ごとに最適な依頼先を選ぶという発想が、コストを抑える鍵になります。
私自身、自邸を計画する際にこの使い分けを意識し、リビングの棚は大工さんに、こだわりのキッチン収納は家具職人にと、部分ごとに依頼先を分けました。
結果として、限られた予算の中でも、こだわりたい部分にしっかりと費用をかけることができました。
なお、既製品や今使っている家具を組み合わせることでも、家具にかかる費用はさらに抑えられます。
その具体的な工夫については、別の記事でお伝えします。
今日からできる具体アクション
- 検討している取付工事が、大工さんで対応できるか担当者に確認してみる
- 見積もり書の中で「大工工事」と「家具工事」の項目を分けて確認する
- こだわりたい部分と、そうでない部分を家族で話し合って整理する
- オーダーメイドが必要な箇所だけ、家具工事として依頼する
- 「この工事は大工さんでできますか」という質問を、打ち合わせの定番にする
- 大工工事で対応できた分の予算を、こだわりたい部分に回せないか検討する
- 依頼先ごとの見積書を並べて、費用の差を家族で共有しておく
遠慮せずに聞くことが、無駄なコストを防ぐ一番の近道です。
専門的な区分だからこそ、分からないことは積極的に、そして遠慮なく確認してみてください。
まとめ
大工工事と家具工事は、担当する職人も、それぞれにかかる人件費も異なります。
簡単な取付工事であれば大工さんでも対応できることが多く、その事実を知っているかどうかで、見積もりの総額は思っている以上に大きく変わってきます。
オーダーメイドの家具が必要な部分は家具工事として依頼し、それ以外の簡単な工事は大工工事として依頼する。
この使い分けが、コストを抑えながら満足度の高い家づくりに確かに、そして着実につながります。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの工事区分の知識の大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、家具や収納の話が出たときは、ぜひ「これは大工さんでできますか」の一言を添えてみてください。
それだけで、見積もりの中身が少しずつ、しかし確実に良い方向へ変わっていくはずです。


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