「吹き抜けに、かっこいいストレート階段を設置したい」。
そう考える方は多いはずです。
実は、階段の形状はデザインの好みだけでなく、コストにも大きく関わっています。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、階段の形状とコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、階段選びの打ち合わせで何を確認すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、コストを重視するなら、回り階段のほうがおすすめです。
存在感のある階段に憧れる気持ち、よく分かります
吹き抜けのリビングに設置したストレート階段は、見た目のインパクトが大きく、家全体の印象を引き締めてくれます。
蹴上げ(階段の縦の部分)をなくしたスケルトン階段にすれば、光や風を通し、開放感のある空間に仕上がります。
階段は、家の中でも特に目を引く場所です。
だからこそ、デザイン性の高い階段に憧れるのは自然なことです。

私自身も自邸を設計する際、この開放感のあるストレート階段を選びました。
ただし、コストという視点で見ると、また違った選択肢が見えてきます。
打ち合わせの初期段階では、間取りや外観に気持ちが向きがちで、階段の形状まで丁寧に検討する余裕がない方も多いはずです。
それでも、階段は毎日必ず使う場所であり、コストにも暮らしにも関わる重要な建具です。
見た目の憧れと、コストの現実。
両方を知った上で選ぶことが、後悔のない階段づくりにつながります。
一度施工した階段は、簡単にはやり直せない部分だからこそ、なおさらです。
問題の本質:デザイン優先で選ぶと、コストの差に気づきにくい
多くの方は、階段の形状をデザインの好みだけで選んでしまいます。
問題の本質は、ストレート階段と回り階段のコスト差を知らないまま、見た目だけで判断してしまうことにあります。
ストレート階段は、様々な形状にカスタマイズできる分、造作での対応が必要になることが多く、コストが上がりやすい傾向があります。
一方、回り階段には既製品が用意されていることが多く、コストを抑えやすいという特徴があります。
デザインだけで決めてしまうと、後から見積もりを見て、想定より高くなっていることに驚くケースも少なくありません。
私が相談を受けた中にも、雑誌で見たストレート階段に憧れて希望を伝えたものの、見積もりを見て回り階段に変更したという方が何人もいました。
早い段階でコスト差を知っていれば、もっと落ち着いて検討できたはずです。
原因は3つ。すべて「階段の作り方」に関係しています
既製品を使えるかどうかの違い
回り階段は、規格化された既製品を使えることが多く、造作で一から作るストレート階段に比べてコストを抑えやすくなります。
既製品を使えるかどうかは、コストに直結する大きなポイントです。
規格化された部材は、工場である程度組み立てられた状態で現場に運ばれるため、現場での加工の手間も少なく済みます。

壁の仕上げ方の違い
回り階段は、周囲の壁の仕上げを共通化しやすく、施工の手間を減らせます。
吹き抜けに設置するストレート階段は、周囲の仕上げも含めて造作になることが多く、その分コストが積み重なっていきます。
階段下スペースの活用方法を考えていない
回り階段は、階段下のスペースを収納やトイレとして活用できるという利点があります。
この階段下スペースを有効活用できるかどうかも、家全体のコストパフォーマンスに影響します。
私が担当した現場でも、回り階段を選んで階段下をトイレにしたことで、床面積を無駄なく使えた例がありました。
「階段そのもの」だけでなく「階段下の使い方」まで含めて比較することが大切です。
反対に、ストレート階段の場合は、階段下の空間が中途半端な形になりやすく、収納として使いにくいことがあります。
階段本体の価格差だけでなく、その周辺スペースの活用効率まで含めて考えると、総合的なコスト差はさらに大きくなります。
解決方法:コスト重視なら回り階段、デザイン重視なら予算に余裕を
解決策は、優先順位をはっきりさせた上で、階段の形状を選ぶこと。
コストを抑えたい場合は、既製品を活用できる回り階段を軸に検討します。
デザイン性を重視したい場合は、ストレート階段にかかる追加費用をあらかじめ予算に組み込んでおきます。
私が自邸でストレート階段を選んだのも、コストよりも開放感を優先したいという明確な理由があったからです。
どちらが正解ということではなく、優先順位を決めて選ぶことが後悔を防ぎます。
大切なのは、なんとなくデザインで選んでしまうのではなく、コストとの関係を理解した上で、納得して選ぶことです。
納得して選んだ階段であれば、多少費用がかかったとしても、住んでからの満足度は大きく変わってきます。
私自身、ストレート階段を選んだことに後悔はありませんが、それは事前にコスト差を理解した上での選択だったからです。
知らずに選ぶのと、知った上で選ぶのとでは、住み始めてからの納得感がまったく違います。
今日からできる具体アクション
- ストレート階段と回り階段、それぞれの見積もりを実際に比較してみる
- 階段下スペースをどう活用したいか、家族で話し合っておく
- 既製品の階段を使えるかどうか、担当者に確認する
- デザイン性を重視する場合は、階段にかけられる予算の上限を先に決めておく
- 築20年以上の住宅をリフォームする場合は、階段の架け替え費用も含めて見積もりを取る
- 階段の形状ごとに、施工事例の写真を見比べて暮らしのイメージを具体化する
- モデルハウスで実際に階段を上り下りし、素材や踏み心地も確かめておく
「かっこよさ」と「コスト」、どちらを優先するかを自分の中ではっきりさせておきましょう。
それだけで、担当者との打ち合わせがスムーズになります。
迷ったときは、家族で「10年後もこの階段でワクワクできるか」を話し合ってみるのもおすすめです。
まとめ
階段の形状は、見た目の印象を大きく左右するだけでなく、コストにも直結する要素です。
回り階段は既製品を活用しやすく、壁の仕上げも共通化しやすいため、コストを抑えやすい傾向があります。
一方、ストレート階段は開放感やデザイン性に優れますが、造作による費用がかさみやすくなります。
コストとデザイン、どちらを優先するかをはっきりさせた上で選ぶこと。
そのひと手間が、打ち合わせの満足度も、住んでからの満足度も大きく変えてくれます。
これが、階段選びで後悔しないための考え方です。
既製品を使えるかどうか、階段下をどう活用するかまで含めて比較すれば、見積もりの見え方も大きく変わってきます。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私は階段選びには明確な優先順位が欠かせないとお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームで階段の架け替えを考えている方も、見た目だけでなくコストの仕組みまで知った上で選んでみてください。


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