「部屋ごとに違うクロスを貼りたい」。
そんな希望を持つ方は多いはずです。
実は、壁や天井に使う仕上げ材の種類を増やすほど、見えないところで無駄なコストが積み重なっていきます。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、仕上げ材の選び方とコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、クロス選びの打ち合わせで何を意識すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、仕上げ材の種類をできるだけ統一することが、無駄のないコストダウンにつながります。
部屋ごとに違うクロスを選ぶ方もいらっしゃいますが・・・
リビングはナチュラルな雰囲気に、子供部屋はかわいらしい柄に、寝室は落ち着いた色に。
部屋ごとに雰囲気を変えたいと考えるのは、とても自然な気持ちです。
それぞれの空間に個性を持たせたいという思いは、家づくりの楽しみのひとつです。
私自身も自邸を計画する際、部屋ごとの雰囲気にはこだわりたいと考えていました。
打ち合わせが進むにつれて、クロスのサンプルを見比べる時間は、家づくりの中でも特にワクワクする瞬間です。
その気持ちを大切にしながらも、知っておいてほしい仕組みがあります。
サンプル帳をめくりながら、あれもいい、これもいいと悩む時間は、家づくりならではの贅沢な時間です。
その楽しさを否定するつもりは全くありません。
ただ、選んだ後にどんなコストが発生するかまで知っておくと、より納得のいく選択ができます。
問題の本質:種類を増やすほど、見えない無駄が積み重なる
多くの方が、部屋ごとのデザインだけを考えてクロスを選んでいきます。
問題の本質は、使用する仕上げ材の種類を増やすほど、購入ロットや端数によるロスが積み重なり、総額を押し上げてしまうことを見落としてしまうことにあります。
クロスや塗装は、購入単位やロットの関係で、必要な分だけをぴったり購入することができません。
多くの種類を少しずつ使用すると、それぞれで端数や不使用分が発生し、トータルで見ると無駄な費用が生じてしまいます。
この仕組みを知らないまま、部屋ごとに違うクロスを選んでいくと、気づかないうちにコストが積み重なっていきます。
塗装についても同じことが言えます。
色んな色を使用すると使い切れずに余ってしまい、その余った分の費用も、最終的には施主が負担することになります。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、同じ視点が役立ちます。
部屋ごとに違う仕上げ材を選ぶよりも、統一できる部分を見つけることで、リフォーム費用を抑えられることがあります。
実際に、私が過去に立ち会った見積もり比較では、クロスの種類を5種類から2種類に絞っただけで、材料費と施工の手間賃を合わせて数万円単位の差が出たことがありました。
一件だけを見れば小さな差に思えるかもしれませんが、家全体で積み重なると決して無視できない金額になります。

原因は3つ。すべて「種類の多さ」に関係しています
購入ロットの関係で端数が発生する
クロスや塗装は、決まった単位でしか購入できないことがほとんどです。
必要な分だけをぴったり使い切ることは難しく、種類が増えるほど端数のロスが積み重なっていきます。
この端数は、完成後に補修材として施主に渡したり、不要であれば廃棄したりしますが、いずれにしても施主がそのコストを負担しています。
職人の手配が複雑になることがある
使う素材によっては、専門の職人が必要になるケースがあります。
素材の種類が増えれば増えるほど、必要となる職人の種類も増え、その分人件費も上がっていきます。
こだわりの強い方の中には、クローゼット内だけで壁3面・天井1面・床材1面、合計5種類のクロスを使用したという例もあります。
私が担当した現場でも、こうした細やかなこだわりを実現するために、通常より多くの手配が必要になったことがありました。
廃盤リスクを考えていない
人気のないクロスは、数年経つと廃盤になったり、モデルチェンジによって同じものが入手できなくなったりすることが多々あります。
将来、破れたり傷んだりして張り替えが必要になったとき、同じ材料が手に入らないというリスクを見落としがちです。
特に、個性的な柄や輸入物のクロスは廃盤になりやすい傾向があります。
気に入って選んだはずのクロスが、数年後には見本帳から消えてしまっていた、というケースも珍しくありません。
解決方法:長期供給されるクロスで統一する
解決策は、壁や天井に使用するクロスを、できるだけ同じ仕様に統一すること。
同じクロスで仕上げれば、購入ロットのロスがなくなり、コストダウンにつながります。
各クロスメーカーには、長期間供給を継続する定番品番が存在するため、そういったクロスを選んでおくと、将来張り替えが必要になった際にも同じものが入手しやすくなります。
私の家では、トイレ2箇所と洗面の床材、そしてリビング・子供部屋・トイレ・洗面・自分の部屋の「天井クロス」を統一しました。
すべての空間を統一する必要はなく、統一できる部分を見極めるだけでも、十分なコストダウン効果があります。
一般的な定番クロスは種類も豊富で価格も手頃なため、統一しても選択肢が狭まりすぎる心配は少ないというメリットもあります。
さらに、統一しておくメリットは建てた直後だけではありません。
数年後に子供が壁を汚してしまったり、家具をぶつけて傷をつけてしまったりすることは、実際によくあります。
そのとき、同じクロスがまだ流通していれば、目立たない場所の余り材と貼り替えるだけで済み、余計な出費を防げます。
将来の補修のしやすさまで含めて考えると、統一という選択は長期的な資産価値にもつながります。
なお、統一を基本にしつつ、こだわりたい場所だけ好きなクロスを選ぶという両立方法もあります。
その具体的なバランスの取り方については、別の記事でお伝えします。
今日からできる具体アクション
- 部屋ごとに違うクロスを選ぶ前に、統一できる範囲を家族で話し合ってみる
- 検討しているクロスが、長期供給される定番品番かどうか確認する
- 特殊な素材を使う場合は、必要な職人の種類や追加費用を担当者に聞いてみる
- クローゼットなど目立たない場所から、統一を検討してみる
- 天井・床材・壁と、面ごとに統一できる部分を整理してみる
「統一できる部分」を見つける作業は、パズルのように楽しめる工夫でもあります。
ぜひ間取り図を見ながら、家族で話し合ってみてください。
まとめ
壁や天井に使う仕上げ材の種類を増やすほど、購入ロットの端数や職人の手配、将来の廃盤リスクといった見えない無駄が積み重なっていきます。
仕上げ材をできるだけ統一することで、こうしたロスを防ぎ、コストダウンにつなげられます。
すべてを統一する必要はなく、統一できる部分を見極めることが大切です。
長期供給される定番クロスを選ぶことで、将来の張り替えにも安心して対応できます。
ただ、クロスは他の材料に比べると安価で多くの種類が存在しますので、正直に言うと大きなコストダウン効果にはなりませんので、あまり気にせず選んでしまっていいかなと個人的に思います。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの統一という視点の大切さをお伝えしたいです。
打ち合わせの段階で「ここは統一できないか」と一言確認するだけで、後から振り返ったときの満足度は大きく変わります。
ぜひ次回の打ち合わせで、担当者に相談してみてください。


コメント