「1階を広くとって、2階は少し小さめに」。
そんなイメージで間取りを考える方は少なくありません。
実は、この「部分2階建て」という形は、同じ延床面積でも「総2階建て」より費用が高くなりやすい傾向があります。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、階数の形とコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、間取りの打ち合わせで何を意識すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、コストを抑えたいなら、1階と2階の面積を揃えた総2階建てがおすすめです。
1階を広くしたい気持ち、よく分かります
リビングを広くしたい、庭に面した開放的な空間がほしい。
そう考えると、1階の面積を大きくとりたくなる気持ちは自然なことです。
1階に理想を詰め込みたくなるのは、家づくりでよくあることです。
私自身も自邸を計画する際、1階の広さについては何度も検討を重ねました。
最終的に私が選んだのは、延床面積の坪単価とにらめっこしながら、1階と2階の面積をほぼ揃えるプランでした。
この選択には、コストの面から明確な理由があります。
打ち合わせの初期段階では、間取り図の見た目やリビングの広さに気持ちが向きがちで、階数のバランスまで意識できる方は多くありません。
その気持ちは自然なことですし、決して悪いことではありません。
ただ、階数のバランスという視点を知っているだけで、同じ予算でもできることの幅が大きく変わってきます。
問題の本質:延床面積が同じでも、形によってコストが変わる
多くの方が、延床面積という数字だけを基準に予算を考えてしまいます。
問題の本質は、同じ延床面積でも、1階と2階の面積バランスによって、コストが大きく変わることを見落としてしまうことにあります。
たとえば、延床面積40坪の家を建てると仮定します。
部分2階建てで1階30坪・2階10坪にする場合と、総2階建てで1階20坪・2階20坪にする場合とでは、同じ40坪でも費用に差が出ます。
1階部分が大きくなるほど、家を支える基礎工事の施工面積が増え、そこにかかる材料費や手間も増えていきます。
「延床面積が同じだから費用も同じ」とは限らないのです。
見積もり書を確認するとき、多くの方は延床面積と総額だけを見て判断してしまいます。
1階と2階の面積バランスという視点は、見積もり書の中では目立たず、見落とされがちな項目です。
我が家の立面図と1階平面図です。
ほぼ総2階という形になっています。
立面図の左側が少し出ていますが、この部分にうまく収まりきらなかったウォークインクローゼットや畳部屋・書斎などを配置しています。


原因は3つ。すべて「1階の広さ」に関係しています
基礎工事の施工面積が増える
1階が大きい部分2階建てでは、家の土台となる基礎工事の面積も大きくなります。
セメントや鉄筋などの材料が増えるため、当然コストは上がります。
平屋建ての住宅が比較的高額になりやすいのも、この基礎工事の面積が理由のひとつです。
土地の購入代金にも影響する
1階の面積を大きくとる場合、それに見合う大きさの土地が必要になることがあります。
土地の購入代金まで含めて考えると、部分2階建てはさらにコストがかさむ可能性があります。
屋根や外壁の形状が複雑になりやすい
部分2階建ては、大きな箱の上に小さな箱が乗っているような形状になります。
コーナー処理が増えたり、小さな屋根がいくつも必要になったりして、材料費や施工の手間が増えてしまいます。
私が担当した現場でも、部分2階建てのプランを総2階建てに変更しただけで、見積もりが大きく下がった例がありました。
「箱が乗っている形」は、見た目以上にコストへ跳ね返ってくるのです。
解決方法:1階と2階の面積を揃えることから検討する
解決策は、間取りを考える最初の段階で、1階と2階の面積をできるだけ揃えることを基準にすること。
総2階建てであれば、基礎工事の面積を抑えられるだけでなく、屋根や外壁もシンプルな形状にしやすくなります。
結果として、材料費・人件費の両方でコストを抑えやすくなります。
私が自邸で選んだのも、この総2階建てを基本とした形でした。
1階を無理に広げるのではなく、2階の面積も活かしながら、全体としてバランスの良い間取りを目指しました。
「1階だけを広くする」のではなく、「1階と2階、両方の面積を活かす」という発想が、コストを抑える近道です。
2階にこどめ部屋や寝室、収納を配置することで、1階を無理に広げなくても暮らしやすさは十分に確保できます。
1階と2階、それぞれの役割を考えながら間取りを組み立てることが、満足度とコストの両立につながります。
なお、総2階建ては構造の面でも有利とされています。
その具体的な理由については、別の記事で詳しくお伝えします。
今日からできる具体アクション
- 検討している間取りの1階と2階の面積を、実際に坪数で比較してみる
- 部分2階建てと総2階建て、両方のプランで見積もりを取って比較する
- 1階を広くしたい理由を明確にし、2階の活用で代替できないか考える
- 屋根や外壁の形状が複雑になっていないか、模型や完成予想図で確認する
- 土地探しの段階から、必要な建物の形をある程度イメージしておく
- 見積もりの中で基礎工事費が総額に占める割合を担当者に確認する
1階と2階、両方の坪数を書き出してみるだけで、コストの見え方が変わります。
数字で比較する習慣を、ぜひ身につけてみてください。
担当者への質問も具体的になり、打ち合わせの密度がぐっと上がります。
まとめ
延床面積が同じでも、1階と2階の面積バランスによって、コストは大きく変わります。
1階を大きくとる部分2階建ては、基礎工事や屋根・外壁の形状が複雑になりやすく、コストが上がりやすい傾向があります。
1階と2階の面積を揃えた総2階建てであれば、基礎工事の面積を抑え、シンプルな形状で材料費や手間を減らせます。
「1階だけを広くする」発想から一歩離れて、家全体のバランスで考えること。
これが、コストを抑えながら満足のいく家づくりにつながります。
延床面積という一つの数字だけでなく、その中身まで見比べる視点を持ってみてください。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこのバランスの大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方は、間取り図をもらったら、まず1階と2階の坪数を確認することから始めてみてください。
その小さな一歩が、納得のいく予算配分につながっていきます。
デザインへのこだわりと、コストの現実、その両方を知った上で、家族にとって最良の形を見つけてください。
きっと、無理のない予算で満足度の高い一軒に近づけるはずです。
焦らず一つひとつ確認しながら、後悔のない選択をしていきましょう。


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