「丸窓やアーチ窓を取り入れて、おしゃれな外観にしたい」。
建物には窓は必須で、風を取り入れたり、目隠しの意味があったり、家の断熱性能を高めたりという機能の他に、外観を彩るという機能もあります。
実は、窓は形状によって価格が大きく異なり、規格外の形にするほどコストが上がっていきます。
自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、窓の形とコストの関係をお伝えします。
読み終える頃には、窓選びの打ち合わせで何を確認すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、標準的な四角形の窓を基本にすることが、コストを抑えながら満足度の高い窓選びにつながります。
個性的な窓に憧れる気持ち、よく分かります
丸窓、アーチ窓、円形の小窓。
SNSやモデルハウスで見る個性的な窓は、外観のアクセントとして強い印象を残します。
私自身も自邸を計画する際、玄関脇に丸窓を取り入れたいと考えていました。
写真で見ると小さな窓ひとつでも、家全体の雰囲気を大きく変えてくれるように感じられます。
打ち合わせで見積もりを確認したところ、その丸窓一つで、同じ面積の四角い窓の何倍もの価格になることが分かりました。
デザイン性への憧れは自然な気持ちですが、価格差を知らないまま進めてしまうと、後から調整が難しくなります。
問題の本質:規格外の形状は特注扱いになる
多くの方が、窓の形状による価格差を意識せずに、デザインだけで検討を進めてしまいます。
問題の本質は、標準的な四角形以外の窓は特注扱いになり、既製品よりも大幅に価格が上がることを知らないまま、憧れの形状を選んでしまうことにあります。
窓メーカーは、四角形の窓を大量生産することでコストを抑えています。
丸窓やアーチ窓、変形窓は、専用の型や特別な工程が必要になるため、同じ面積の四角い窓に比べて価格が数倍になることも珍しくありません。
この事実を知らないまま「アーチ窓にしたい」とだけ伝えてしまうと、想定を大きく超える見積もりに直面することになります。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、同じ視点が役立ちます。
窓を交換する際、既存の開口部の形状によっては、特注対応が必要になり、費用がかさむことがあります。
原因は3つ。すべて「規格外」に関係しています
特注品は型代・工程が別にかかる
丸窓やアーチ窓は、通常の生産ラインでは作れないため、専用の型や工程が必要になります。
この型代や特別な工程にかかる費用が、そのまま窓の価格に上乗せされます。
小さな窓であっても、規格外というだけで、標準的な大きな窓より高くなることもあります。
さらに、特注窓は納期も長くなる傾向があり、工程全体のスケジュールにも影響が出ることがあります。
サイズが規格から外れると割高になる
窓には、メーカーごとに定められた規格サイズがあります。
この規格に収まらないサイズ(少し大きい、少し小さいなど)を希望すると、特注扱いになり、価格が上がってしまいます。
間取りの都合で窓のサイズを決めるのではなく、規格サイズに合わせて間取りを微調整するという発想も有効です。
私が担当した現場でも、間取りをわずかに調整して規格サイズの窓に収めるだけで、見積もりが数万円下がった例がありました。
複数の形状を組み合わせてしまう
一つの窓に複数の形状要素(丸みを帯びた部分と四角い部分を組み合わせるなど)を取り入れると、製造の難易度がさらに上がり、価格も比例して高くなります。
デザイン性を追求するあまり、複雑な形状を求めすぎてしまうと、コストの面で大きな負担になります。
シンプルな形状の窓を複数組み合わせる方が、複雑な一つの窓を作るよりも、結果的にコストを抑えられることが多くあります。

解決方法:標準サイズの四角い窓を基本にする
解決策は、家全体の窓を標準的な四角形・規格サイズを基本にし、こだわりたい場所だけ特注窓を取り入れること。
標準的な四角い窓は、選べるサイズや性能のバリエーションも豊富で、コストを抑えながら十分な機能と見た目を実現できます。
玄関まわりや象徴的な場所など、限られた箇所だけに特注窓を使うことで、全体のコストを抑えつつ、こだわりも表現できます。
私の家では、当初検討していた玄関脇の丸窓を諦め、代わりに縦長の規格サイズの窓を組み合わせて、リズム感のある外観に仕上げました。
規格サイズの組み合わせだけでも、十分に個性のある外観は作れると実感しています。
窓の配置や大きさのバランスを工夫することで、特注品に頼らなくても、印象的な外観デザインは十分に実現可能です。
デザイナーや設計士と相談しながら、規格サイズの範囲内で工夫を凝らすというアプローチもおすすめです。
高さを揃えた縦長窓を等間隔で並べる、大小の四角窓を組み合わせて非対称に配置するなど、規格品の組み合わせ方次第で表現の幅は大きく広がります。
特注に頼らずとも、配置の工夫だけで十分に「その家らしさ」を演出できることを、自邸を通じて実感しました。
今日からできる具体アクション
- 検討している窓の形状が、標準品か特注品かを担当者に確認する
- 特注窓を希望する場合は、その窓だけの価格を具体的に確認する
- 窓のサイズが、メーカーの規格サイズに収まっているか確認する
- こだわりたい窓を1〜2箇所に絞り込み、それ以外は標準品にする
- 規格サイズの窓を複数組み合わせたデザイン案も検討してみる
「規格品か特注品か」を意識するだけで、窓選びの見積もりの見え方が大きく変わります。
ぜひ打ち合わせで、窓ごとに標準品か特注品かを確認してみてください。
まとめ
窓は、形状やサイズが標準規格から外れるほど、特注扱いとなり価格が上がっていきます。
丸窓やアーチ窓、規格外サイズの窓は、型代や特別な工程がかかるため、同じ面積の標準的な四角い窓より高額になる傾向があります。
家全体は標準的な四角形・規格サイズの窓を基本にし、こだわりたい場所だけ特注窓を取り入れることで、コストを抑えながら満足度の高い窓選びができます。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの規格品と特注品の使い分けの大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、窓のデザインを決める前に、規格品か特注品かをぜひ確認してみてください。
なお、窓は形状だけでなく、性能の面でも価格に大きな差があります。
その内容については、別の記事で詳しくお伝えします。
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