「天然素材って、良いことばかりじゃないの」。
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、天然素材には価格の高さだけでなく、反りや割れ、メンテナンスの手間といった見落とされがちなデメリットもあります。
自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、天然素材の弱点と、代替材料の選び方をお伝えします。
読み終える頃には、天然素材と代替材料をどう使い分ければよいかが整理できているはずです。
結論からお伝えすると、デメリットを理解した上で選べば、天然素材も代替材料もそれぞれの良さを活かせます。
(高価な天然素材を部分使用でコストダウンする方法については、別記事「高価な材料は部分使用で」でも詳しく解説しています。あわせて読むと、コストと特性、両方の視点で素材選びができます。)
天然素材には人を惹きつける魅力に溢れています
無垢材の質感、天然石の重厚感、漆喰の風合い。
天然素材ならではの魅力に惹かれて、家づくりに取り入れたいと考えるのは自然なことです。
私自身も自邸を計画する際、天然素材の持つ独特の味わいに強く惹かれていました。
ただ、業務で数多くの住宅に携わる中で、天然素材ならではの弱点にも数多く向き合ってきました。
この経験から、良い面だけでなく、知っておくべき側面もお伝えしたいと思います。
打ち合わせの場では、天然素材の魅力ばかりが強調され、デメリットまで詳しく説明されないまま契約に進んでしまうことがあります。
良い面を知ることは大切ですが、弱点まで理解した上で選ぶことで、より納得感のある選択ができるはずです。
問題の本質:価格以外のデメリットが見落とされがち
多くの方が、天然素材は価格が高いという点しかデメリットとして認識していません。
問題の本質は、価格以外にも、湿度による反りや割れ、経年でのメンテナンスの手間といった、暮らしてから気づく弱点があることを見落としてしまうことにあります。
無垢材は、湿度の変化によって伸縮し、反りや隙間が生じることがあります。
乾燥によって、「パキッ」と言う音が鳴ることもよくあります。
天然石も、素材によっては欠けたり、シミが付きやすかったりする性質を持っています。
こうした特性を知らないまま選んでしまうと、住み始めてから「思っていたのと違う」と感じることになりかねません。
築20年以上のお住まいをリフォームする際も、この視点は重要です。
既存の天然素材がどう経年変化しているかを確認した上で、そのまま活かすか、代替材料に置き換えるかを判断する必要があります。
原因は3つ。すべて「特性の見落とし」に関係しています
湿度による伸縮を知らない
無垢材は調湿性が高い分、湿度によって伸縮しやすく、季節によって床鳴りがしたり、隙間ができたりすることがあります。
この特性を知らずに選ぶと、住み始めてから気になってしまうことがあります。
特に、冬場の乾燥する時期と梅雨時期とでは、同じ床材でも見え方や音の出方が変わることがあります。
床暖房と組み合わせる場合は、さらに乾燥の影響を受けやすくなるため、対応可能な無垢材かどうかを事前に確認しておく必要があります。
衝撃や汚れへの弱さを知らない
天然石やタイルは、衝撃で欠けたり、油や水分でシミになったりすることがあります。
天然素材ならではの風合いと引き換えに、こうした手入れの手間が発生することを理解しておく必要があります。
特に大理石のような柔らかい石材は、酸性の調味料などで表面が変色することもあり、キッチン周りでの採用には注意が必要です。
メンテナンスの手間を継続できるか考えていない
天然素材は、定期的なメンテナンス(オイル塗布やワックスがけなど)が必要になることが多く、この手間を継続できるかどうかも選ぶ際の重要な判断基準になります。
忙しい家庭では、メンテナンスの手間そのものが負担になってしまうこともあります。
「素材は気に入ったが、手入れが続かず結局傷んでしまった」という声は、現場でも少なくありません。

解決方法:場所ごとに天然素材と代替材料を使い分ける
解決策は、天然素材のデメリットを理解した上で、メンテナンスの手間を許容できる場所には天然素材を、そうでない場所には代替材料を使い分けること。
近年は、無垢材の風合いを再現した複合フローリングや、天然石調のタイルなど、質感の高い代替材料が数多く登場しています。
これらは天然素材特有の反りや割れのリスクが少なく、メンテナンスの手間も軽減されます。
私が担当した現場でも、水回りには耐水性の高い代替材料を、リビングには質感を重視して無垢材を、というように使い分けている例が多く見られます。
玄関やダイニングなど、来客の目に触れやすい場所にだけ天然素材を残し、廊下や個室は代替材料でまとめるという組み合わせも、よく採用されている考え方です。
私自身も、湿度変化の影響を受けやすい場所には代替材料を選び、日々触れる場所には天然素材を選ぶという使い分けをしています。
この使い分けによって、天然素材ならではの魅力を楽しみながらも、メンテナンスの負担を最小限に抑えることができています。
すべてを天然素材にする必要も、すべてを代替材料にする必要もありません。
それぞれの特性を理解した上で、暮らし方に合わせて選ぶことが、後悔のない選択につながります。
今日からできる具体アクション
- 天然素材を検討している場所ごとに、湿度変化への耐性を確認する
- 天然素材のメンテナンス方法と頻度を、事前に担当者に確認する
- 水回りなど湿気の多い場所は、代替材料を優先的に検討する
- 質感の高い代替材料のサンプルを取り寄せて、天然素材と比較してみる
- 家族のライフスタイルに合わせて、メンテナンスを継続できるか話し合う
「良い面」と「気をつけたい面」、両方を知ることが、納得のいく素材選びの第一歩です。
ぜひ担当者に、デメリットについても遠慮なく質問してみてください。
まとめ
天然素材には、価格の高さだけでなく、湿度による反りや割れ、メンテナンスの手間といった、暮らしてから気づくデメリットもあります。
これらを理解した上で、メンテナンスを許容できる場所には天然素材を、そうでない場所には質感の高い代替材料を使い分けることが、後悔しない選択につながります。
すべてを天然素材か代替材料かで決めるのではなく、それぞれの特性を活かした使い分けが大切です。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの使い分けの大切さをお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームを考えている方も、天然素材の魅力だけでなく、弱点も含めて理解した上で選んでみてください。
その一手間が、長く快適に暮らせる住まいづくりにつながります。


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