「和室はほしいけれど、本格的にすると高くなりそう」。
そう感じて、和室を諦めかけている方もいるのではないでしょうか。
実は、本格的な和室にしなくても、建材の選び方次第で、リビングにもマッチする和の設えを作ることができます。
この記事では、自ら新築を設計し7年間住み続け、業務でも10年以上新築・リフォームに携わってきた私が、和室のコストと建材の工夫についてお伝えします。
読み終える頃には、和室づくりで何を確認すればよいかがはっきりします。
結論からお伝えすると、本格的な和室を避け、建材を工夫することで、コストを抑えながら和の雰囲気を楽しめます。
和室がほしい気持ち、よく分かります
洗濯物をたたんだり、昼寝をしたり、来客の寝室として使ったり。
和室には、リビングにはない使い勝手の良さがあります。
畳の上でごろりと横になれる空間は、暮らしに独特の安心感を与えてくれます。
だからこそ、和室を取り入れたいと考える方は一定数いらっしゃいます。
私自身も自邸に4畳ほどの和室を設けました。
使い方は暮らしの中で少しずつ変わっていくものですが、和室があること自体には満足しています。
打ち合わせの中で「和室がほしい」と伝えると、担当者からは本格的な仕様を前提とした提案が出てくることもあります。
それを見て、和室そのものを諦めてしまう方も少なくありません。
ただ、諦める前に知ってほしいことがあります。
選択肢は、本格的なものか、それともなしか、の2つだけではありません。
問題の本質:「和室=本格的」という思い込みがコストを上げる
多くの方が、和室というと床の間や書院、無垢の柱や彫り込んだ欄間といった本格的な設えを思い浮かべます。
問題の本質は、和室を作るなら本格的にしなければならないという思い込みが、必要以上にコストを押し上げてしまうことにあります。
本格的な和室は、材料そのものが割高な上に、床の間や柱、天井・欄間の意匠にこだわり出すと、際限なく費用がかさんでいきます。
この事実を知らないまま「和室が欲しい!」とだけ伝えてしまうと、想定より高い見積もりに驚くことになります。
築20年以上のお住まいをリフォームして和室を設ける場合も、同じ注意が必要です。
本格的な仕様を前提に見積もりを取ると、想像以上の費用になり、計画そのものを断念してしまうケースもあります。

原因は3つ。すべて「本格志向」から生まれます
材料そのものが割高になりやすい
本格的な和室で使われる無垢材や井草の畳、塗り壁などは、一般的な建材に比べて価格が高くなる傾向があります。
「和室らしさ」を追求するほど、使用する材料のグレードも上がっていきます。
特に、天然素材にこだわるほど、価格帯の上限が見えにくくなる点にも注意が必要です。
意匠にこだわり出すときりがない
床の間の形状、天井の仕上げ、柱の見せ方など、和室はこだわりどころが非常に多い空間です。
一つひとつのこだわりが積み重なることで、当初の想定を大きく超える費用になってしまうことがあります。
私が担当した現場でも、床の間だけで数十万円単位の追加費用になった例がありました。
柱を見せる真壁づくりにするか、壁で隠す大壁づくりにするかといった選択だけでも、費用は大きく変わってきます。
「和室っぽい建材」の存在を知らない
多くの方が、和の雰囲気を出すには本格的な材料しかないと思い込んでいます。
実際には、見た目は和風でありながら、価格を抑えた建材が数多く存在します。
この選択肢を知っているかどうかで、和室づくりの予算は大きく変わります。
インターネットや雑誌で見る和室の写真は、本格的な仕様のものが多く、それが和室の「当たり前」だと感じてしまうのも無理はありません。
実際の建材メーカーのカタログを見てみると、想像以上に選択肢が豊富であることに驚く方も多いです。
解決方法:和室っぽい建材を上手に組み合わせる
解決策は、本格的な材料にこだわらず、和室っぽい雰囲気を出せる建材を組み合わせること。
たとえば、塗り壁調の壁紙や和紙を使った壁紙を使えば、本物の塗り壁でなくても和の質感を演出できます。
木目や竹などの柄の壁紙も豊富にあり、天井や柱の印象を和風に近づけることができます。
畳についても、井草を使った本格的なものだけでなく、中材に発泡ウレタンを使い、和紙を糸状にして編んだ畳表のタイプもあります。
色や模様、縁のあるなしも選べるため、リビングの雰囲気に合わせやすいという利点もあります。
窓には障子の代わりに、和室っぽい雰囲気のブラインドを取り付けるという方法もあります。
「本物そっくりの和材料」を上手に選ぶことで、コストを抑えながら満足度の高い和室に仕上げられます。
私が自邸で採用したのも、この考え方です。
4畳のスペースに半畳の畳を千鳥に敷き詰め、天井と壁は和紙の壁紙で仕上げました。
照明にもこだわり、和室らしい雰囲気の器具を自分で選んで取り付けています。
本格的な仕様ではありませんが、リビングとも調和する、居心地の良い空間に仕上がりました。
見る人が見ても、本格的な和室と勘違いされることもあるくらいです。
建材選びを工夫するだけで、見た目の満足度はここまで変わるということを、身をもって実感しています。
今日からできる具体アクション
- 和室に使いたい素材を「本格」と「和室っぽい」の2パターンで見積もり比較する
- 塗り壁調・和紙調の壁紙サンプルを取り寄せて質感を確認する
- 畳の種類(井草・和紙畳など)ごとの価格差を担当者に確認する
- 障子ではなく和室っぽいブラインドなど、代替案も検討してみる
- 床の間や造作にこだわりたい部分だけ、優先順位をつけて絞り込む
- ショールームで実際に和室っぽい建材に触れ、質感を確かめてから決める
「和室っぽい建材」というキーワードを、ぜひ担当者との会話で使ってみてください。
提案の幅がぐっと広がるはずです。
知らなければ選べなかった選択肢が、一気に目の前に増えてきます。
まとめ
和室は、本格的に作ろうとすると材料費も意匠費も膨らみやすい空間です。
しかし、塗り壁調や和紙調の壁紙、発泡ウレタン畳、和室っぽいブラインドなど、コストを抑えながら和の雰囲気を演出できる建材は数多く存在します。
「和室=本格的でなければならない」という思い込みを一度手放し、建材の選択肢を広げてみること。
これが、コストと満足度を両立させる和室づくりにつながります。
建材の進化は日々進んでおり、以前は難しかった表現も、今では手の届く価格で実現できるようになっています。
自邸を建てて7年、そして10年以上の現場経験から、私はこの建材選びの工夫をお伝えしたいです。
新築を検討している方も、リフォームで和室を設けたい方も、本格的なものか、それともなしか、の2択で諦める前に、ぜひ和室っぽい建材という選択肢を担当者に相談してみてください。
きっと、思っていたよりも自由度の高い和室づくりができるはずです。
限られた予算の中でも、暮らしに彩りを添える和の空間は十分に実現できます。
一度知恵をつけてしまえば、その後の打ち合わせもぐっと楽になるはずです。
気になる建材があれば、まずはサンプルを取り寄せることから始めてみてください。
なお、そもそも和室を設けるべきかどうかで迷っている場合は、別の記事もあわせて参考にしてください。


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